公認会計士試験の不合格者は就職・転職市場から歓迎されるのか?
11月17(金)に令和5年度公認会計士試験の合格発表があります。公認会計士・監査審議会によると、今年度の短答式試験合格者数は2,103人、論文式試験受験予定者数は4,192人です。
今年度の試験結果をもとに、来年度の公認会計士試験でリベンジを試みる方、就職・転職を考える方など、今後の進路は様々かと思いますが、実際にこれから就職・転職を選んだ場合はどのようなキャリアがあるのでしょうか。
現在の就職・転職市場の状況と照らし合わせて解説をさせて頂きたいと思います。
・売り手市場が続いているので、不合格後でも就職・転職は難しくない
・採用を急いでいる企業や事務所にとっては、「会計知識」を持ち、「早期入社」できる人材は魅力的
・自身の将来をどのように発展させていくかという“考え方の軸”を定めておくと良いでしょう
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新卒・第二新卒の場合
大学及び大学院に在籍しながら公認会計士試験を受験していた方、また既卒3年以内の第二新卒層に関しては、就職において特に問題はないでしょう。現在の就職市場に関してはニュースや新聞でも報じられているように、売り手市場が続いていますので、若手で簿記や会計の知識を有する方であれば就職することは然程難しくありません。
但し、大手商社やグローバル企業、メガバンク等、採用倍率が高い企業に関しては、採用の門戸は開いていても、実際に内定を勝ち取ることは容易ではありません。また、配属先の決定は現場のニーズ優先になるケースも少なくありません。大手企業の新卒枠や第二新卒枠を考えた場合は、あくまで総合職扱いになることが想定されるため、その企業ではどのようなキャリア形成が可能なのか、しっかりと情報収集をしてから応募をすることをお勧めします。
一方、新興上場企業やIPO準備企業等、組織の拡大が著しい環境においては、会計知識に富んだ若手人材を採用することに苦戦しているケースも多く、業務未経験でも経理や財務のスタッフ職で採用される可能性は十分あるようです。
また、あくまで会計を中心にコンサルティングやアドバイス業を行っていきたいという方であれば、経理アウトソーシング会社(シェアド会社含む)、会計事務所・税理士法人、財務系のコンサルティング会社など、会計をメインとした会社でも若手ポテンシャル層向けの採用活動が行われていますので、チャレンジする価値はあるかと思います。
社会人としてのキャリアをお持ちの場合
次に社会人経験のあるキャリア採用の分野について解説します。
まず、社会人経験の内容が企業での経理・財務など、もともと会計を軸としたキャリアの方は、公認会計士試験の受験勉強に専念をしていた期間があっても、再び企業(大手含む)に就職できる可能性が高いです。
特に、現在の転職市場を見ると、一般事業会社の管理部門にて積極的な採用活動が行われていますので、上場企業の経理部門、内部監査部門、支店経理、工場経理など会計をメインとした部門やポジションで採用される可能性が高いと言えます。
また、上場企業のみならず、IPO準備企業のようなベンチャー企業においても経営管理体制の強化に取り組んでいる会社が増えていますので、経理スタッフから入り将来の経理マネジャーを目指す、場合によってはIPO準備室のメインメンバーとして活躍し、将来はCFOへ昇格というキャリアパスも十分考えられます。
あくまでコンサルタントやアドバイザー的な立場で働きたいという方であれば、決算の早期化や効率化を得意とするような会計コンサルティング会社や、企業の買収・売却を支援するようなM&Aファーム、その他、事業再生コンサルティング会社などの道が開けていると言って良いでしょう。
就職・転職活動を行う際の注意点
上記の通り、現在の就職・転職市場の状態は良好ですので、資格の合否に関わらず内定を勝ち取ることは出来るでしょう。特に直近で公認会計士試験に専念をされていた方であれば、離職中の状態かと思いますので、早期入社が可能という武器を持ち合わせていると言えます。
従って、採用を急いでいる企業や事務所からすれば、
- ①会計知識を持ち合わせている
- ②早期入社が可能である
という点は魅力的に映るため、人柄・人物像が悪くなければスピーディに内定を出すケースも少なくないのです。
内定が早期に出ること自体は悪いことではないですが、自分自身の方向性、将来のキャリアイメージ、行きたい業界の研究などが進んでいない場合は、いざ内定が出た時に的確な判断が出来ず、結果として選考時の印象・心象を頼りに入社するかを決めざるを得ない、という結果になることも少なくありません。
そのため、これから就職・転職活動を行う前に、今まで蓄えてきた知識をどのように活かしていくか、自身の将来をどのように発展させていくかという“考え方の軸”を定めておくと良いでしょう。
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